時代のニーズを創出した商品ラインナップの取り組み。
印刷物は、発注者の特徴を盛り込んだオリジナルのオーダー商品が一般的です。
この印刷物の印刷データをお客様自身でパソコンやソフトを駆使して作成するか、印刷会社に印刷データを依頼するかによって、私達の対応も分かれるのですが、パソコンが普及した今日でも、印刷データが作れないお客様層を、如何にスムーズに印刷データ作成に導くかが、私達に問われています。
そうした点を主眼に当社のデザインテンプレート選択による印刷データ作成の手法を、進化発展していかなければなりません。デザインテンプレートは、セミオーダー商品として印刷料金の軽減に寄与しているのですが、全てのジャンルでオンラインでの編集機能の改善に鋭意取り組んでいます。既に、Adobeや専用ソフトにとらわれないで、オンラインでフリーな状態から印刷データを作成する新しい動きも始まっているようです。
生産手段としての印刷設備の革新もさることながら、新しい印刷物の創出や加工が、私たち印刷業に残されたミッションになっていくと思います。印刷業を取り巻く時代の変遷をみると、社会の広範囲な深層で価値観が変わり、生産手段や完成品の役割が栄枯盛衰してきたことを証明しています。広範囲な印刷ニーズを掘り起こし、お客様が必要としているものを真剣に探り、さらにカンタンでスムーズな印刷データの作成機能を充実させることで、印刷物の料金を低減して、紙の役割を創出するために、これからも一層努力してまいります。
(株)プリントフェスタ
代表取締役 福元 幸盛
印刷業を取り巻く時代の変遷
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1980年、印刷のデータ作成のツールは、国産の組版機も混在して、ワープロからパソコンへ変化を遂げつつありました。1980年後半になるとキャノンやNECのDTPがデータ編集の主流になりつつあり、Adobeの影もそれ程気にならなかったように思えました。しかし、1995年11月「Windows 95」の日本語版が、発売されました。「コンピュータに触れたことのない人(おじさん)でも簡単に扱える操作性」がウリで、年配の人も深夜に購入の列に並んでいる光景がテレビで放映され日本中が大騒ぎしたことを、今でも忘れられません。今思えば、この光景が、印刷業の大変革を起こす潮流だったのです。デザインや文章の編集,版の作成などのプリプレス工程は、印刷業の専業的な仕事でもあり多くの人材を養っていました。それが、少し慣れた人なら誰でも印刷版の作成が可能になったのです。専業としてのプリプレスの縮小の始まりです。一方このプリプレスの広がりが、印刷業のプレス(印刷工程)やポストプレス(印刷の後工程)への変革につながり、とめどなく広がる印刷の周辺機器整備の起因になっているのではないでしょうか。
1996に「Yahoo! JAPAN」のサービスが開始されて、2000年代になるとインターネットの深化が進み、パソコンの編集機能は、更に進化して、現在に至っています。印刷業は、日本中に散らばったプリプレスの印刷データを、早く正確に、そして効率的に印刷機に反映させるかを競い、業界内での競争力の優劣を実現してきました。
2010年代インターネットやパソコンの一大変革が進む中で、印刷物の完成品は、数は減少しても社会が経済活動やイベントなどの広報活動を行うために必要な手段やツールとしての役割を担ってきました。
2010年代になると行政のデジタル化が提唱されて、あらゆる分野でDXが推し進められる中で、2020年 新型コロナウイルス感染症の影響は、経済から生活のあらゆる分野のデジタル化と産業構造の変化を大きく推し進め、印刷物の役割を一気に変えようとしています。私たちの社会は、1つ1つ取り上げるまでもなく、或時代に発明された生産手段やプロダクトが、過去から未来永劫にその役割を維持しえないことを歴史の中で見てきました。新型コロナウイルスは、そのタイミングを加速度的に早めたことに、気づかざるを得ませんでした。
1つの時代に、印刷物の役割が生まれ、1つの役割が終えていく中で、私たちは、企業生命をかけて時代のニーズを先読みしなければ、歴史の流れに翻弄されるだけです。歴史の流れはだれが作っているのか。そこを凝視することで、私たちの役割を創出していくことも可能になると思います。